第九回 死神の精度
はじめに
前回、前々回と海外の小説を紹介しました。
そして今回も…とか考えましたが、
流石にバランス悪いな、と思い
今回は日本の小説です🇯🇵
そしてその小説とは、
伊坂幸太郎(著)
”死神の精度”
死神の精度と書くと
暗〜い雰囲気かと思いますが、そんなことは無いです。
むしろ伊坂先生独特の雰囲気といいますか、暗くなり過ぎない程よさでまとまっています。
さてさて、どんな内容なんでしょうか?
あらすじ
主人公の名は”千葉”。職業は死神。
死神といっても取り憑いて人を殺すわけではない。対象者に死ぬ予定の日の直前の1週間、対象者に付きまとい、死なせるべきかを決めます。
そして1週間後に死神が死に対して許可を出せば、対象者は死にます。逆ならび対象者は”天寿を全うします。
大抵は死ぬ事になるのですが…
この小説は死神の千葉と、6人の対象者との交流を、千葉の一人称視点で描きます。
SFポイント
今回のSFポイント、それは
”章と章の間の時間経過”
これです!!
この小説は6人の死ぬべき運命の人との交流を描くことはあらすじで述べたと思います。
あ、今書いてて思ったんですが、
ぶっちゃけネタバレしないとこの先が書けないです
(そこまでのネタバレではないですが)
というわけで
この小説の第13章の”観察対象”は、冴えない男、荻原。
私が特筆したいのは、この男ではなく
荻原といい仲になる、古川朝美という女性。
あらすじもどきをここから数行書いて、状況整理をしたいと思います。
千葉の観察対象である、荻原がふとした拍子に出会った女性の名は古川朝美。
彼女はストーカー被害に悩まされていた。
千葉と荻原はその事件の解決を目指す。
ざっくりこんなもんです。
あらすじが過ぎるかもしれないですね(笑)
さてさてこの古川という女性。
登場当時は、どことなくおっとりとしていて、そしてストーカー被害に怯えていました。
そして荻原とはその事件を通して”いい仲”になっていきます。
同じ講演会のチケットをそれぞれ2枚ずつ買ってくるなど、その関係性も良好。
(千葉も、お前は死神か?って程協力しているんですがね)
しかし結局、千葉の出した判決は
「可」でした。
そしてその後、荻原が死んだ事を知らない古川と、千葉がラストで少し話してこの章は終わります。
何が悲しいって、ラストシーンの古川が
この章の中で一番明るいんですよ。
そんなおっとりしたいわゆる”女の子”だった古川が、最終章ではその面影がなくなります。
最終章に出てくる、メッチャ竹を割った性格の老婆が出てきます。
彼女こそ古川その人です。
あの後、数々の人を失う事になった古川は、どんな経験を経て、性格が変わっていったのでしょう。
こういう事を考えるのも、この小説の醍醐味です。
おわりに
この小説はさすが、ミステリー作家伊坂幸太郎っていう所がいくつもあります。
SFポイントで述べた、章と章の繋がりもそうなのですが、それ以外にも吹雪の中、ペンションに閉じ込められ、殺人事件に巻き込まれる章があります。
そこでは、千葉は死神でありながら、探偵🕵️♂️をさせられる事に…
一見ミステリーなのですが、そこに伊坂先生お得意のお笑い要素が組み合わさります。
千葉は人間社会をよく知らない。
そのせいでそばにいる人から見ると。千葉は完全に変人であり、周りから明らかに浮いてるという、シュール臭いギャグも放ってきます。
しかし結局事件が解決する辺り、上手く話を作るなぁ〜と思います。
今回はマジの体調不良のせいでかなり短いですが、これで終わります
次回までには治してきます(笑)