第11回 ささらさや
今回から”第〜回の、〜の所を算用数字で書こうと思います。
漢字で一文字で書ける10回までなら
いいのですが、99回とかになった時に
”九十九回”
とかやると読みにくいですからね。
そこまで続くかは不明ですが(笑)
今回の小説は
加納朋子(著)
”ささらさや”
この作品は何というか温かいんです。
ストーリー上の人の温かさもそうですが、この作者の文は何か読んでいて安心出来ます。
困難な目にあっても周りの人が助けてくれるみたいな安心感が。
(イメージ図)
文章で書くのは難しいのですが、そのような感情を抱かせる小説です。
それではあらすじをどうぞ
あらすじ
引っ込み思案な主人公のサヤは交通事故で夫に先立たれてしまう。赤ん坊の子供、ユウスケと共に佐々良という街へ引っ越す。
引っ越した先でサヤは様々な事件に巻き込まれる。
しかしその度に死んだ夫が、誰かの体に取り憑くことで助けに来るのだ。
やがてサヤの周りには頼もしい近所の知り合いもできていく。
夫の力も借りながら、近所の人々の力を借りながら、サヤは徐々に母親として成長していく。
SFポイント
今回のSFポイントはズバリ
”人々の助け合いと、さやの成長”
この小説のスタート地点では、サヤは母親として未熟です。
もっとも、子供を残して夫に先立たれた
妻にしっかりしろ!というのはムリがあるのですが。
最初の頃のサヤは、困りごとが起こるとすぐにパニックを起こし、極度の人見知りで、すいませんばっかり言っている。
だいたいこんな感じです。
ですから葬儀屋に騙され、親権を取られそうになり、死んだ夫以外に助けてくれる人はいない……こんな状態でした。
しかしストーリーが進むと、
サヤを強力にサポートするキャラとアクの強いおばさん3人衆(久代、夏、珠子)が友人になります。
この3人組がさよの家に頻繁に出入りすることになり、サヤもそれを楽しみにする様になります。
そして心の平穏をいくらか取り戻した
サヤは、郵便の配達員と談笑できるまでに成長⤴︎⤴︎
そして遂には同い年の友達を得ます。
その名もエリカ、子供の名はダイヤ。
エリカもシングルマザーだった事もあり、仲良しに。(エリカの場合は離婚なのですが)
そして最後には
あ、ネタバレになりそうなので
(貼るのが遅かったかもしれないです)
この小説ではかなり最初のページから
子供のいない夫の姉が
ユウスケの為という大義名分の下
ユウスケの親権をサヤから奪おうとしています。
そして最後には誘拐に近いものを行います。サヤは夫の力を借りることなく、周りの人の力を借りながら見事に解決して見せました。
サヤは見事な”母”となったのでした。
この物語はサヤの成長が主軸に据えられていますが、この点を加納先生はシッカリと描いています。
彼女の文体と合わさり、サヤはシッカリとした仲間を得て、母として成長していく。
その魅力を体感するのが、この小説の醍醐味といえます。
おわりに
この小説は映画化しています。
そして小説読みは必ず”ある難題”を抱えています
すなわち
”小説から見るか、映画から見るか”
小説を純粋に楽しみたい人にとっては
映画の俳優は想像の邪魔になります。
すなわち映画を先に見なければ
「このキャラはこんな感じの顔」
と、想像しながら読めます。
対して映画を先にみるとどうしても
キャラを想像するときに俳優の顔がダブります。
ハリーポッターなんかが想像しやすいと思います。
対して先に映画を見る派の人は
- 先に全容を把握したい
- そもそも小説なんか読まない
- 小説を読む際に俳優の顔がダブった方がむしろ好都合
このような理由があると考えられます。
さてさて私、常盤コウはどちらサイドの人間か?
答え:小説が先!!
だって映画を先に見たら不純物が混じるじゃないですか。
小説の醍醐味は
”著者と読者の対話”
これに尽きます!!
(異論はもちろんあり)
この作品も例外ではないです。
本作の映画での夫役は
”大泉洋さん”
言わずもがな大泉さんは
あのキムタクばりにキャラが確立しています。(けなしているのではなく、キャラを確立していることを褒めています)
水曜どうでしょうを見る分にはいいのですが、こと小説原作の映画ではダメです。
あまりに夫役の大泉さん成分が強いのです。
映画を観た後に小説を読んでも、もはや大泉さんの顔しか出てこなくなります。
これでは著者との対話など不可能であります。
よってこの作品に関しては
私は”小説が先”をオススメします。
もっとも同じ大泉洋さんが出演している
小説原作映画でも、映画が先でもいいものがあります。
それが”探偵はBARにいる”です
この作品は著者が自ら
大泉さんが主演ならokと許可を出しています。
これなら著者との対話を阻害していることにはならないです。
………
まぁ散々言ってきましたが、
ぶっちゃけ好きに読んで下さい。
私が書いた内容を真に受けて
小説を嫌いになられたら元も子もないですし(笑)
こんな楽しみ方もあるよ、くらいに捉えていただければ。
そうお考えください
今回はそろそろお別れにします。
それではまた次回